第２回●孤高のフラッグシップ『Ｇ型』 2000. 9. 9
●どこにあるのか、Ｇ型
私は、ミサワホームの企画住宅のほぼ総てのモデルについて、住
宅地で実際に建っているところを見ている。直接見たり、テレビや
写真で見たりと様々だが、唯一見たことがないのが、Ｇ型である。
Ｏ型がPC-9801シリーズなら、Ｇ型はPC-100。Ｏ型が920万ないし
1480万円なのに対し、Ｇ型は2800万〜3350万円。発表当初は2700万
〜3100万円だった気がするが、資料が見つからなかった。どちらに
しろ、坪単価はＯ型の２倍近い。現在に換算すれば、6000〜7000万
円というところか。
Ｇ型が建てにくかったのは、価格だけではない。
玄関は東または西側だが、南側の面こそファサード（建物の正面）
といえよう。特に、１階中央の吹き抜けに設けられたガラス張りの
サンルームは、建物の南側に広い庭を必要としただろう。
そのぶん、家の左右の２階部分の出窓は、左右の開閉のみに留め、
隣家が接近していても、大丈夫なように工夫されている。
南面の２階、中３階窓にあるのはフラワーボックス。バルコニー
ではないので外には出られない（床が抜けている）。
珍しい、横側（玄関側）からの写真も載せておこう。南面からは、
中３階建ての切妻屋根に見えたが、実際は後ろが寄棟風にカットさ
れていた。これは、北側斜線をクリアしやすくする工夫だろう。
●１サイズの自信
ミサワホームの企画住宅のうち、プランが１サイズのみというの
は、後にも先にもＧ型のみである。57坪。
高天井のリビングの上にある中３階の６畳エキストラルームには、
そこから半階上がった4.5畳のロフトがある。Ｏ型にもあったが、屋
根の上が少し盛り上がった小さな屋根「越屋根」が、そのロフトだ。
面白いことに、この越屋根は左右対称にあらず。左側が３尺長い
異形である。解説文等から考えて、この３尺の部分は吹き抜けに通
じており、換気扇等が入っていると推測される。
尚、発表後かなり経ってから、横に３尺広げた62坪タイプが追加
されている。これだけのカネと、これが建つ敷地を持っている人は、
縮小されたプランなど、誰も望まないということだろう。
★概念図
●ライフスタイルはブルジョア志向
Ｇ型のコピーは『今、先進の家』。Ｏ型とほとんど同じだ。
「進歩的な思想と、洗練された生活感覚を持つ人々のために設計さ
れた、頂点を極めた住まい」、「安全に、快適に、暮らしを豊かに
するコントロールタワーを内蔵。21世紀のクオリティライフをささ
えるさまざまな機能が、１年中、昼夜を問わず働きます」、「棟高
・越屋根の堂々たる外観、大型ルーフサッシ・吹抜けの居間は、住
む人の風格を象徴」と、いかにも70年代の大艦巨砲時代を髣髴させ
る宣伝文句だ。
コントロールタワーというのは、中央のリビングの壁に備え付け
られた、床から天井までの長〜いスイッチ群である。セントラルヒ
ーティング、セントラル給湯、セントラルクリーナー等々、コンピ
ュータとは書かれていないが、トロン住宅を思わせる自動コントロ
ールが可能だった。
Ｏ型を象徴するのが２階ホールなら、Ｇ型を最も象徴するのは、
このアングルだろう。中央の吹き抜けのリビング。中央に、欧米風
の階段があり、その踊り場の下はレンガ敷きのマントルピース（オ
プション）。そして、テラスと同じ床高のサンルーム。
パイプをくわえ、ロッキングチェアでくつろぐ主。鉢植え、洋犬、
テーブルの上にはライフルと、いかにもという演出。ちなみに、カ
タログの表紙にも同じ場所の写真が使われているが、若い白人女性
が白いグランドピアノを弾いているという、これまた、いかにもな
演出なのだ。
Ｏ型については総合カタログ等しか持っていないが、Ｇ型はちゃ
んとしたカタログを持っている。しかしながら、Ｂ４サイズのため
スキャナで取り込むのを断念せざるを得なかった。
★メニューへ